1-7 健康保険

ファイナンシャルプランナー

概要

・健康保険は、被保険者(会社員)とその被扶養者(会社員の家族)に対して、労災保険の給付対象とならない病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行う制度。

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会社員の所属する健康保険には「被扶養者」の概念があります。

一方で、自営業の国民健康保険には「被扶養者」の概念はありません。

ちなみに、被扶養者は「年収130万円以下かつ被保険者の年収の1/2未満」などの条件があります(詳細は以下)。

また、業務上や通勤中のケガは労災であり、健康保険ではなく労災保険です。


健康保険の保険者

・健康保険は、全国健康保険協会が保険者となる全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)と、健康保険組合が保険者となる組合管掌健康保険(組合健保)がある。

【協会けんぽ】
・主に中小企業の会社員が被保険者となる。
・都道府県ごとに保険料率は異なる(都道府県内では一律)。

【組合健保】
・主に大企業の会社員が被保険者となる。
・組合ごとに保険料率は異なる。組合健保の保険料率は一定の範囲内で組合が決めることができる。ただし、被保険者の負担割合を1/2超にすることはできない。

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保険料もそれぞれに違うので、ごちゃごちゃになりやすいです。

「健康保険の協会けんぽ」は都道府県ごとに異なる。

「公的介護保険の協会けんぽ」の保険料は全国一律

「健康保険の組合健保」は組合ごとに異なる。

「国民健康保険」は市町村ごとに異なる。

「労災保険」は事業内容ごとに異なる。

「雇用保険」は業種ごとに異なる。

被保険者

一般被保険者

・健康保険に加入し、必要な給付を受けられる人のことを被保険者という。

・原則として、適用事業所に勤務する人は被保険者になる。

・適用事業所である個人事業所の事業主は、使用される者(労働者)に該当しないため、被保険者にはならず、国民健康保険の被保険者となる。

適用除外

・次のいずれかに該当する者は、原則として健康保険の被保険者にならない。

被保険者にならない人例外
臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く)であって、次に該当する人
①日々雇い入れられる人
②2か月以内の期間を定めて使用される人であって、当該期間を超えて使用されることが見込まれない人
①に該当する人においては1か月を超え、②に該当する人においては所定の期間を超えて、
引き続き使用されるに至った場合には、それぞれ超えた日から被保険者となる。
所在地が一定しない事業所に使用される人
季節的業務に使用される人(船舶所有者に使用される船員は除く)当初から継続して4か月を超えて使用される予定の場合は、使用された日から被保険者となる。
臨時的事業の事業所に使用される人当初から継続して6か月を超えて使用される予定の場合は、使用された日から被保険者となる。

被保険者となる短時間労働者

1週間の所定労働時間or1か月間の所定労働日数が正社員の3/4以上

・被保険者が常時51人以上の事業所(特定適用事業所)で、上記の要件を満たさない短時間労働者も、次の①-④を全て満たすと健康保険の被保険者になる。

①1週間の所定労働時間が20時間以上
②賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上)、なお賞与や通勤手当や残業代は含まない
③雇用期間の見込みが2か月超
④学生でない

正社員化等を実施した場合の助成

・有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者について、企業内でのキャリアアップを促進するために正社員化等を実施した場合、事業主に対してキャリアアップ助成金が支払われる。

・例えば正社員化の支援については、正社員化前6か月と比較して、3%以上の賃金の増額が必要。

被扶養者

・健康保険では、被保険者に扶養されている被扶養者も保険給付を受けることができる。

・次の”被扶養者の範囲”に該当し、日本国内に住所を有する人または海外留学生のように日本国内に住所を有しないが渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる一定の人に限られる。

・ただし、国内に住所を有していても、被扶養者になれない一定の場合(医療滞在ビザで来日した人など)がある。

被扶養者の範囲

①被保険者と同居しているかを問わずに被扶養者となる人
 a) 配偶者(内縁関係も含む)
 b) 本人の兄弟・姉妹
 c) 子・孫
 d) 本人の直系尊属

②被保険者との同居が条件となる人
 a) 被保険者の3親等以内の親族(①に該当する人を除く)
 b) 被保険者の内縁の配偶者の父母および子
 c) 内縁の配偶者死後の内縁の配偶者の父母および子

・ただし、75歳以上の後期高齢者医療制度の被保険者は被扶養者にはなれない

被扶養者の認定基準

・被保険者の扶養家族に収入がある場合、被扶養者として認定されるためには、次の収入要件がある。

《同居の場合》
・年収が130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年収の1/2未満であること

《別居の場合》
・年収が130万円未満(60歳以上または一定の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者からの援助額(仕送り額等)より収入が少ないこと

・収入には、公的年金制度の障害給付・遺族給付や雇用保険の失業等給付などが含まれる。

・雇用保険の基本手当を受給する場合は、基本手当日額が3612円未満、60歳以上は5000円未満であること。

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事業主が一時的な収入増加であることを証明すれば、年収が130万円を超えていても被扶養者としての認定を受けられる。ただし、最大でも2年間(連続2回まで)。

保険料

《全国健康保険協会管掌健康保険》
 [標準報酬月額・標準賞与額]×都道府県単位保険料率
《組合管掌健康保険》
 [標準報酬月額・標準賞与額]×(3-13%)

・保険料は、被保険者(会社員)の標準報酬月額と標準賞与額に保険料率を掛けて計算し、その金額を会社と被保険者(会社員)で半分ずつ負担(労使折半)する。

・なお、産休期間中(産前42日/多胎妊娠の場合は産前98日、産後56日)および育休期間中(3歳までの子を養育するための育児休業期間)における社会保険料(健康保険料や厚生年金保険料など)は被保険者分および事業主分ともに免除される(事業主の申し出が必要)。

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健康保険は「労使折半」でした。

他に「労使折半」なのは、第二号被保険者の厚生年金保険料です。

他の保険の保険料は…

・労災保険は、「全額事業主負担」

・雇用保険は、「労使折半ではないが事業主と労働者で負担」

標準報酬月額

・標準報酬月額とは、被保険者が受ける報酬の額をいくつかの区切りの良い等級に区分したもの。

・健康保険の標準報酬月額は第1級58000円から第50級1390000円までの50等級に区分されている。

・標準報酬月額の決定方法には、定時決定と随時決定がある。

《定時決定》
・4/5/6月の給料の平均を、その後の1年間(9月から翌年8月まで)の給料と見なす方法。
・17日未満の月は対象外。
・残業手当や宿直手当、通勤交通費なども含むが、実費弁償的な出張旅費などは含まない。

《随時決定》
・被保険者が実際に受けている報酬の額に著しい変動(2等級以上の差)が生じ、保険者が必要と認めた場合には、定時決定を待たずに標準報酬月額の改定を行うことが出来る。

標準賞与額

・3か月を超える期間の賞与から1000円未満を切り捨てた額。

・標準賞与額に関する健康保険の保険料賦課の上限額は、年度累計額573万円

健康保険の給付内容

  1. 療養の給付、家族療養費
  2. 高額療養費
  3. 出産育児一時金、家族出産育児一時金
  4. 出産手当金
  5. 傷病手当金
  6. 埋葬料、家族埋葬料

療養の給付、家族療養費

・日常生活(業務外)の病気やケガについて、診察や投薬等の医療行為を受けられる。

・被保険者(会社員)のほか、被扶養者(会社員の家族)も同様の給付を受けることが出来る。

・なお、医療行為を受ける際には、医療機関の窓口で一定の自己負担割合がある。
・自己負担割合:小学校入学までは2割、その後は70歳まで3割。70歳から75歳未満までは、一般所得者は2割で、現役並み所得者は3割。75歳以上は後期高齢者医療制度で1割。

健康保険の自己負担割合

高額療養費

・月間の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過額について請求をすれば、後で返金を受けられる。

高額療養費

・差額ベッド代や入院中の食事代は対象にならない。

・70歳未満の自己負担限度額の計算は次の通り。

所得区分自己負担限度額
標準報酬月額183万円以上252600円+(総医療費-842000円)×1%
標準報酬月額53~79万円167400円+(総医療費-558000円)×1%
標準報酬月額28~50万円80100円+(総医療費-267000円)×1%
標準報酬月額26万円以下57600円
住民税非課税世帯(低所得者)35400円
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全部覚えるのは無理なので、該当する人の多い上記表の太字部分だけ覚えましょう。

例えば、標準報酬月額28~50万円の50歳会社員が病院窓口で30万円支払った場合。

自己負担割合が3割なので、総医療費は100万円(その3割で30万円の窓口支払)。

自己負担限度額は、

8万100円+(100万円-26万7千円)×1%=87430円。

よって、高額療養費として返還される金額は、

30万円-87430円=212570円。

  1. 標準報酬月額とは、毎月の社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金保険)を計算する仕組み。毎年4-6月の給与の平均で決定される(4-6月だけ仕事頑張ると社会保険料が重くなる)。 ↩︎

・療養を受けた月以前の1年間に、3か月(3回)以上の高額療養費の支給を受けた場合には、4か月目(4回目)から「多数回該当」となり、自己負担限度額がさらに減額される。

・長期にわたって治療が必要で自己負担が高額となる特定疾病(透析が必要な慢性腎不全など)は、特定疾病高額療養費に該当し、自己負担限度額が医療機関ごとに1か月1万円となる。ただし、70歳未満の透析患者で標準報酬月額が53万円以上の人は2万円。

・介護保険の受給者で、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担額が高額になった場合は、負担額の比率に応じて健康保険から支給される。介護保険からも「高額医療合算介護サービス費」「高額医療合算介護予防サービス費」が支給される。

傷病手当金

・被保険者(会社員)が、病気やケガを理由に連続して3日以上連続して休み、給料が支給されない場合に4日目から通算1年6か月間支給される。

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労災保険とごちゃごちゃになるので注意。

「健康保険の傷病手当金」を受給するには「連続して3日」休む必要があります。

一方で、「労災保険の休業補償給付」も4日目の休みから受給できますが、こちらは「連続した」3日の休みである必要はありません。

傷病手当金

・1日当たりの支給額=支給開始日以前12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額/30日(標準報酬日額という)×2/3

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傷病手当金は標準報酬日額の「2/3」でした。

ここもまたごちゃごちゃになるので整理。

・労災保険の休業補償給付は6割相当額
・健康保険の出産手当金も標準報酬日額×2/3
・雇用保険の介護休業給付や育児休業給付金は67%

・傷病手当金は健康保険の資格喪失後も受け取ることが出来る(資格喪失日前日まで継続して1年以上被保険者であることが条件)が、傷病手当金を受ける人が老齢厚生年金を受け取れるようになった場合は傷病手当金は支給されない。ただし、老齢厚生年金が少なくて傷病手当金以下の場合には、その差額は受け取れる。

出産育児一時金、家族出産育児一時金

・被保険者(会社員)または被扶養者(会社員の妻)が出産した場合、1児につき50万円(産科医療補償制度に加入している病院等で出産した場合)が支給される。

・出産育児一時金は資格喪失日前日まで継続して1年以上被保険者であることを条件に、退職後6か月以内に出産した場合は支給される。

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双子なら倍額貰えます。

出産手当金

・被保険者(会社員)が、出産のために仕事を休んで給与が支給されない場合に、出産前の42日間、出産後の56日間のうちで仕事を休んだ日数分の金額が支給される。

・1日当たりの支給額=標準報酬日額×2/3

・出産手当金は資格喪失日前日まで継続して1年以上被保険者であることを条件に、出産手当金を受給中に退職したり、出産手当金の受給要件を満たした人が退職した場合は、退職後も継続して受給可能。

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私は産前6週産後8週で覚えています。

埋葬料、家族埋葬料

・被保険者(会社員)が死亡したとき、葬儀をした家族に対し、5万円が支給される。

・被扶養者が死亡したときは、被保険者(会社員)に5万円が支給される。

・退職後3か月以内に死亡した場合や、傷病手当金・出産手当金の継続給付を受給中の人が死亡した場合などは、退職後で健康保険の資格を喪失していても受け取ることが可能。

任意継続被保険者

・被保険者が退職した場合、健康保険の被保険者の資格はなくなるが、一定の要件を満たせば、退職後も最長で2年間、退職前の健康保険に加入できる。

・この場合の保険料は被保険者(退職者)が全額自己負担(労使折半でない)する。

・健康保険の任意継続被保険者の要件:健康保険に継続して2か月以上加入している&退職後20日以内に申請する必要がある。

・傷病手当金や出産手当金の支給は無し(国民健康保険と一緒)。

・退職後に任意継続被保険者にならない場合は、国民健康保険に14日以内に加入する、家族の被扶養者になる、次の会社の保険に入るのいずれかで健康保険に加入しないといけない。

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日本は国民皆保険なので、仕事を辞めても必ず保険に加入する必要があります。

仕事を辞めた時の、保険の選択肢は以下の4つしかありません。

  1. 任意継続被保険者になる
  2. 国民健康保険に退職後14日以内に加入する
  3. 家族の被扶養者になる
  4. 次の会社で健康保険に加入する

任意継続被保険者は退職後の制度です。

そのため、会社が被保険者の保険料を労使折半で払ってくれることはありませんので、全額自己負担になります。

任意継続被保険者は「2」が付く数字が多いので、2週間などの引っかけに引っかからないように注意しましょう。

コメント

現在は私の家庭は共働きです。切迫早産や吸引分娩等で医療費がそれなりにかかりましたが、共働きであったことから妻の所得に応じた高額療養費となったため、医療費はかなり抑えられました。

夫婦のいずれかしか働いていない場合や夫婦のいずれかが高給取りである場合は、高額療養費といってもそれなりに自己負担があります(標準報酬月額が最高区分に該当すると、毎月少なくとも25万円以上の医療費がかかります)。負担に感じるようであれば、医療保険の加入も選択肢だと思います。

過去問

2023/05月 学科試験
正解はこちら

正解は③。
①:傷病手当金は最長1年6か月です。
②:出産育児一時金は、妻が被保険者なら妻に、夫が被保険者で妻が被扶養者なら妻に支給されます。夫婦それぞれに支給される(二重に支給される)ことはありません。
④:高額療養費制度は、自己負担限度額を超える部分が支給されます。支払った負担金「全て」が高額療養費として支給されるわけではありません。

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