年金制度の全体像
公的年金と私的年金
・年金制度には、強制加入の公的年金と、任意加入の私的年金がある。
公的年金制度の全体像
・我が国の公的年金制度は、国民年金を基礎年金とした2階建ての構造。
・1階は国民年金(20歳以上60歳未満の全ての人が加入)、2階は厚生年金保険(会社員や公務員等が加入)となっている。
・2022年4月から成人年齢が18歳になったが、国民年金への加入は20歳からのままで変わりはない。

国民年金の全体像
国民年金の被保険者
・国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入しなければならない(強制加入被保険者)。
・上記以外の人は国民年金への加入義務はないが、例えば60歳以上65歳未満の人も年金受給額を満額に近づけるために国民年金に任意で加入でき、任意加入被保険者と呼ぶ。
【任意加入被保険者】
・国内に住所がある60歳以上65歳未満の人
・日本国籍を有する人で、国内に住所がない20歳以上65歳未満の人
・第1号被保険者:20歳以上60歳未満の自営業者・学生・無職など。
・第2号被保険者:会社員や公務員(厚生年金保険に加入している人)。年齢に要件はなく、16歳でも会社員なら加入する必要がある。ただし、老齢年金の受給権者となった場合には第2号被保険者の資格を失う。
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている、20歳以上60歳未満の配偶者。

国民年金は強制加入なので、20歳以上60歳未満の人は必ずどれかに所属します。
第2号が会社員・公務員、第3号が第2号の配偶者、第1号はそれ以外と考えると覚えやすいです。
厚生年金の被保険者
・厚生年金保険の適用事業所に使用される70歳未満の人は、厚生年金保険の被保険者になる。

国民年金の被保険者は20歳以上60歳未満でしたが、
厚生年金の被保険者は70歳未満です。
保険料の納付
・国民年金および厚生年金の保険料は、次の通り。
《第1号被保険者》
・国民年金保険料=16980円/月(2024年度)
・世帯主はその世帯に属する被保険者の保険料を、配偶者は非保険者である他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。
※出産前後や育児中の保険料
・原則出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間、多胎妊娠の場合は出産予定日または出産月の3か月前から6か月間は、国民年金保険料が免除される。
《第2号被保険者》
・厚生年金保険料に国民年金保険料も含まれるため、国民年金保険料を別途収める必要はない。
厚生年金保険料=(標準報酬月額+標準賞与額)×18.3%
(ただし、保険料は事業主と従業員が半分ずつ負担=労使折半)

「労使折半」と言えば、健康保険も労使折半です。
その他、労災保険は全額事業主負担、雇用保険は労働者と雇用主で負担です。
・標準報酬月額の上限は65万円で、標準賞与額の上限は1回の支払いにつき150万円。
※出産前後・育児中の保険料
・育児休業中等の保険料は、子が3歳になるまで事業主・被保険者ともに免除される。
・産前産後の産休期間中の保険料は、事業主・被保険者(従業員)ともに免除される。

雇用保険の育児休業給付は、「原則1歳になるまで」です。
第2号被保険者の育児休業中の保険料は「3歳になるまで」免除されます。
《第3号被保険者》
・保険料の負担なし。
保険料の納付期限
・保険料の納付期限は、原則として翌月末であるが、例外がある。
・口座振替(当月末日引落)、前納(6か月前納/1年前納/2年前納)も可能で、いずれも保険料の割引がある。
・保険料を滞納した場合、あとから2年以内の分しか支払うことが出来ない。

滞納した保険料は、後から払えるのは2年分。
猶予や免除を受けた場合は、後から払えるのは10年分です。
保険料の猶予と免除
・経済的に国民年金の保険料の支払いが困難な場合に、保険料を免除or猶予する制度があります。
・この猶予と免除の制度があるのは、第1号被保険者のみです。

第2号被保険者は会社員や公務員で、報酬に応じた保険料になっているので、払えないということが起こり得ません。
また、第3号被保険者はそもそも保険料の負担がありません。
《法定免除》
・障害基礎年金を受給している人や生活保護法の生活扶助を受けている人は、届け出によって保険料の全額が免除される。
《申請免除》
・経済的な理由(失業など)で保険料を納付することが困難な人(所得が一定以下の人)は、申請して認められた場合には保険料の全額or一部(全額or3/4or半額or1/4の4段階)が免除される。
《産前産後期間の免除制度》
・第1号被保険者で出産した(する)人は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の国民年金保険料が免除され、保険料納付済期間になる。多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間。
《学生納付特例制度》
・第1号被保険者で本人の所得が一定以下の学生は申請によって、保険料の納付が猶予される。

この猶予制度を使用している人は多いのではないでしょうか?
私も利用していた制度です。
《納付猶予制度》
・50歳未満の第1号被保険者で本人および配偶者の所得が一定以下の人は申請によって、保険料の納付が猶予される。
追納
・保険料の免除または猶予を受けた期間については、10年以内なら追納ができる(滞納した場合は、2年分まで)。
・なお、保険料の免除または猶予を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に保険料を追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされる。
免除・猶予期間の年金額への反映
・法定免除と申請免除の期間(保険料が免除された期間)については、老齢基礎年金額に反映(免除期間の1/2や5/8など)される。
・また、産前産後免除期間は、保険料納付済期間とされるため、産前産後期間で年金が減ることはない。
・学生納付特例期間と納付猶予期間については、老齢基礎年金に反映されないため、追納しなければ年金が減る。

猶予期間は追納しないと、年金が減ります。
追納した保険料は社会保険料控除となり、税制面でのメリットがあります。
ただ、少子高齢化が進んで今後の年金制度に懸念があるのも事実で、私は追納せずに自身で資産運用に資金を回すことにしました。
公的年金の給付
公的年金の給付内容
・公的年金の給付には、老齢給付・障害給付・遺族給付の3つがある。
※年金生活者支援給付金
・公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の人に、生活の支援を図る目的として、公的年金に上乗せして支給されるもの。

「年金生活者支援給付金」を知ってしまうと、払った人が損だなぁという気がしてしまいますね。
公的年金の請求手続き
・公的年金を受給するには、受給者が自ら、受給権があるかどうかを国に確認(これを裁定という)した後、年金の給付を請求する必要がある。
・具体的には支給年齢到達日の3か月前に、日本年金機構から年金請求書が送付されるので、この年金請求書を用いて支給年齢到達日以降に請求手続きを行う。
・裁定請求の手続きは、年金事務所で行う(加入していた年金制度が国民年金の1号被保険者期間のみの場合は住所地の市区町村役場でも可能)。
・年金の請求手続きが遅れた場合、5年間の年金は遡って支給されるが、5年を超える分は原則として支給されないので注意。

年金を受給するには、自ら手続きが必要です。
はがきなど郵便物を確認せずに捨てている人は注意しましょう。
年金の支給
・年金は受給権が発生した月の翌月(通常は65歳になった誕生月の翌月)から受給権が消滅した月(受給者が死亡した月)まで支給される。
・年金は原則として、偶数月の15日に、前月までの2か月分が支払われる。

たとえば、9月18日誕生日の人は9月に受給権が発生し、10月から支給が開始されます(偶数月に支給されるため)。
支給は12月に10・11月分、2月に12・1月分といった感じで、2か月分ずつの支給です。
公的年金に係る税金
・保険料を支払った時と、年金給付を受けたときの税務上の取り扱いは次の通りである。
・国民年金や厚生年金の保険料を支払ったとき、全額が社会保険料控除の対象になる。
・老齢基礎年金や老齢厚生年金などの老齢給付を受け取ったとき、雑所得として課税(公的年金等控除が適用される)される。ただし、障害給付や遺族給付は非課税。
コメント
いつまで維持できるか不明瞭な年金制度。
最近は会社員や公務員が払った厚生年金を、国民年金に流用して、年金額を上げようという動きもあるようです。会社員や公務員が積み立てたお金を、自営業者など厚生年金を払っていない人にも配ろうという考えのようです。

FPを勉強していると、色んな制度が改悪されていることが分かります。
厚生年金の流用なんて、Aさんの財布から金を盗ってBさんに配るようなものです。
第2号被保険者である会社員・公務員には明らかにマイナス要素であり、しっかりとニュースを見つつ、選挙で自分たちの意見を訴えていきましょう。

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