Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて

私の資産運用

概要

今回は、書籍「Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて」を読んだ感想とまとめです。

SKReo
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2023年に続編が出ているようなのですが、一歩進んだ内容のようだったのでまずは「Excelでできる 不動産投資「収益計算」のすべて」から読んでみることにしました。

発売日は2017/3/16でした。

著者は玉川 陽介さんです。

要約

目次
  • 序章
    不動産投資「収益計算」の超・基本
  • 第1部
    収益構造のすべて
  • 第2部
    銀行融資のすべて
  • 第3部
    税金のすべて
  • 第4部
    Excelシミュレーションを作る
  • 第5部
    シナリオの答えを探る

序章は不動産投資の収益計算の基本について。

不動産の収益はATCFだけではない。売却まで考えるとATCFが出なくとも、最終的に売却時に実現する益を積み立てていることになる。

実質利回りと借入金利の差が正味利益を生み出すもので、これが変わらない限りは毎年の正味利益はほとんど変わらない。購入当初は借り入れた金額の利息分の支払いが多くてATCFが多く手元に残るが、後半は借り入れた金利の元利分の支払いが多くなって不動産そのものが資産として利益になっていく、

ATCFは時間経過で減るのが一般的。それは減価償却がなくなることや、借り入れた金額の利息分の支払いが減っていくため(元金は経費にならないため)。

要するに、ATCFとしてキャッシュフローを手に入れることも純資産が増えることだが、将来の売却益になる不動産そのものを純資産として手に入れるのも純資産が増えることを意味する。なので、ATCFが0になることも損していることは意味しない。投資の目的は純資産を増やすことなので注意を。

融資を決める要素として、自己資金比率/借入比率LTV、借入期間、金利がある。自己資金比率が低いほどROEは高く、収益率は高くなる。借入期間は正味の利益総額には影響せず、ATCFキャッシュフローとして今手に入れられる金額と将来売却で手にする金額を按分するようなもの。借入金利は、上述の正味利益に繋がるので金利が低いほど収益率は上がる。

ATCFが出なくても純資産があれば、追加で融資を受けることが出来る。純資産は物件時価-残債で評価される。

個人で不動産を保有する際の税金のポイントは、給与収入と合算され一定の所得税率がかかること、5年以上保有して売却した場合の税金が20.315%で法人より安い。

法人で不動産を保有する際の税金のポイントは、年間800万円までの利益に対して25%という相対的に低い税率、1法人あたり1物件という形で複数の法人を作れば低税率が繰り返し使える、社長に役員報酬を支払う形で所得を分散させることができるために最適な税率に調整できる、総じて個人所有より節税対策がしやすい。

実質利回り・表面利回りが低くても、借入比率LTVを高めてROEを高めることで収益率を上げることが出来、フルローンを目指す所以である。

ROEはその時点を切り取ったものであり、不動産保有期間を通じて考えるならIRRで考えるべき。IRR8%ということは、8%複利の定期預金に預けることと同等である。

第1章では、不動産投資における収益計算の基本的な考え方について。

2017年における都心部の中古RC一棟マンションのNOIは、満室賃料×70%程度。

NOIの計算には原状回復など小規模修繕は含むが、付加価値上昇のための大規模修繕の経費は含まれない。

物件価格に変動がない場合の1年間の不動産投資の正味利益は、NOI-金利支払い-税金支払いとなる。NOIを高めることや借入金利を抑えることが重要。CAPEX(大規模修繕費)は付加価値を生む行為であり、現金が建材に代わっただけで売却時には現金として返ってくると考える。また、減価償却は不動産保有中の税金を抑えてその分売却時の税金が高くなるという仕組みなので、買って売るということを考えると減価償却の有無は不動産投資の利益に関与しない。

不動産投資においては借入金利の金利返済額しか経費とならない。元金返済分はその分土地を得ているという認識になって純資産を積んでいることになる。なので、土地価格の下落が少ない場所で不動産投資を行うべきである。

NAVという投資指標も覚えておく。NAVは、今その不動産を売って現金化した最終的にいくら手元に残るのかという解散価値のこと。

売却時には賃料収入を表面利回りで割って売買価格を求める収益還元法を選ぶことが多いため、賃料収入を上げることにこだわるべきである。

税引前IRRが8%でミドルリターン、15%でハイリターンと呼ばれたりするが、市場環境によって目標利回りは異なる。初期投資が極端に少ない(フルローン)と、IRRは滅茶苦茶な値になるので、キャッシュフローや純資産の推移をみたほうが良い。キャッシュフローで得た利益をさらに同利回りの物件に追加投資する場合は複利計算であるIRR関数を用いると良く、キャッシュフローで得た利益を生活費等に充当するのならMIRR関数を用いるべき。

IRRは初期投資額が少ないと出鱈目になる。そういった時にマルチプルを使う。マルチプルは投資終了時の現金残高を初期投資額で割ったもの。

第2章では銀行融資と不動産投資について。

銀行融資で気にしなければならないのは、「自己資金比率」、「金利」、「返済期間」の3つだけ。

「自己資金比率」について。自己資金を多く入れるほど保有期間中のCFは増える。ただ、自己資金を多く入れようが売却まで含めた保有期間の利益額は変わらない。これは低金利が影響をしている。自己資金を入れたところで利益額が変わらないのであれば、自己資金が少ないほど投資効率は良くなる。自己資金を入れれば保有期間中のCFは増えるが、それは自己資金がCFとして戻ってきているだけ。

繰り上げ返済も自らレバレッジ比率を下げて投資効率を下げているようなものなので、行わない方が良い。

「返済期間」については、長く取るほど保有期間中のCFが得られるが、利益総額は変わらない。ただ、返済期間を長く取ることでCFを他の投資に回せるので返済期間を長く取る意味がある。

「金利」について。前述の通りで利益に直結するもの。金利4.5%くらいまでであれば、返済開始後15-20年程度で残債は半分になり、以降は多少金利が動こうが残債が少ないので大きな問題になることは少ない。金利の支払いは時間経過とともに減っていくので経費が減る分、ATCFは減少する。現状の1%台前半の金利であれば10-20年程度でATCFは10-20%減少する。インフレになって金利が上昇するならば、賃料も上昇して収益還元法による物件価格上昇が得られるはず。

ATCFが尽きた場合に「財務活動」でCFを作る必要がある。通常は5-10年経過後は、土地建物簿価>借入残高となることが多いため、土地建物簿価で配偶者など身内に売却したり、自分が保有する別法人に売却することで新規にローンを組めることがある。

第3章では、不動産投資の税金について。

不動産所得の部分については、給与取得のような控除が無いため、実質的にはかなり高い税率がかかってくる。

法人税の実効税率は、税引き前800万までの利益に対して25%、800万を超える部分に対して37%程度の税率となる。法人には法人税均等割(利益に問わず7万円)、税理士費用で年間40万円前後の費用がかかるのでそれも勘案すること。

BTCF800万円までの低い法人税率を活用する方法として、複数の物件を保有する際に複数の法人を持つ方法がある。メリットは、不動産売却時におけるキャピタルゲイン税を減らせる可能性があること、グループ法人間で物件の売買をすることでローンの借換えができることなどがある。一方で、管理すべき口座や書類が増え、税理士費用が追加でかかったり、連結決算を作る必要があったりのデメリットがある。

また、BTCF800万円を超える利益を役員報酬として支払う方法もある。

不動産売却時のキャピタルゲイン税は、購入時の金額ではなくて土地建物簿価と売却額との差額にかかる点に注意。

減価償却について。減価償却をすることは税金を売却時に繰り延べて保有期間のATCFを増やすことに他ならない。不動産価格・不動産保有期間中/売却時の税率が変わらなければ減価償却してもしなくても売却までのtotalでみた時の収益は変わらない点に注意が必要(ただ、ATCFを手に入れて他の投資に回した方が有利なので減価償却する意味がある)。売却時に損が出る場合には、減価償却した方がお得。個人で5年以上保有した場合など、売却時の税率の方が低い場合は減価償却したほうが良い。逆に、法人で不動産を保有する場合は、保有期間中はBTCF800万円に収まることが多く実効税率25%で済むことが多いが、売却時はBTCFが800万円を超えるような場合(売却時の税率が高い場合)には、減価償却して建物簿価を下げると売却時の税率が高くて損をする。

不動産売買時の土地建物按分について。売主は建物の売却に消費税がつくので建物按分を下げたい。一方で買主は減価償却を多く取りたいので建物按分を上げたいというジレンマが起きる。ただ、法人で保有するなら上述の通りで減価償却にこだわる必要がないので、そこで揉める必要はない。

不動産の大規模修繕は減価償却の対象になる。また、不動産売却期に大規模修繕をした場合は、CAPEXとして一括損金にできる。

購入時の登録免許税、登記費用、不動産取得税は購入期に一括経費にできる。税務上は、減価償却を選択することが出来る。

経費にならないものとして、土地の購入代金、借入額の返済元本、敷金がある。

物件購入時の仲介手数料はやや煩雑で、土地に関わる仲介手数料は保有期間中は経費にならず売却時に経費になる。建物に関わる仲介手数料は減価償却。仲介手数料は売買価格×3%+6万円。

修繕費用。機能回復のための修繕は金額が大きくても今期の経費。大規模修繕(設備追加やバリューアップ)は減価償却。

不動産売買に関わる消費税。土地は非課税だが、建物の売買は消費税がかかる。また、事務所やテナントなどの賃料は消費税がかかるが、マンションなど住居のための契約には消費税はかからない。免税・簡易課税・原則課税をうまく使い分けるのが重要。物件売却時には免税事業者であるべき。

第4章以降は実際にExcelを使って計算してみる段階です。

色々なシナリオを予想するにあたり、東京近郊では平均入居年数はシングルで2.8年、ファミリーで3.5年である。また、原状回復費用はシングルで1.7か月分、ファミリーで2.5か月分である。募集にかかる平均期間はシングルで1.5か月、ファミリーで1.9か月。

感想

個人的レビュー

5項目で評価しています。

【具体性】不動産投資をするにあたっての具体的な手順や道筋が記載されているか。

【読みやすさ】本の読みやすさ。

【新規性】その本ならではの提案や意見があるか。

【価格】本の価格。

【初心者お勧め度】不動産投資初心者の最初の1冊としてのお勧め度。

すごく具体的で細かい内容でした。

土地建物を新規に投資する場合には良いのだろうなと思いつつ、相続した土地での運用でどういう風になっていくのかはまた難しいところだなと思いました。

初心者が読むには重い気もしますが、不動産投資を始める前に読んでおいて損がない書籍だったと思います。

コメント

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