6-3 贈与税

ファイナンシャルプランナー

贈与税の基本

贈与とは

・贈与とは、生存している個人から財産をもらう契約をいう。

・贈与は合意によって成立するので、贈与契約は口頭でも書面でも有効となる。

・なお、書面によらない贈与契約(口頭による贈与契約)は各当事者が解除することができる。

・ただし、履行が終わった部分については解除することができない

贈与の形態

《通常の贈与》
・贈与のつど、贈与契約を結ぶ形態。

《定期贈与》
・定期的に一定額を贈与する契約。

《負担付贈与》
・受贈者(贈与を受けた人)に一定の義務を負わせる契約。
・例)「土地を贈与するから、借入金1000万円を負担してほしい」など。

《死因贈与》
・贈与税ではなく、相続税の課税対象。
・贈与者の死亡によって実現する贈与契約。

贈与税の計算

・贈与税の課税価格から基礎控除を差し引いた額に、税率を乗じて控除額を引くことで、贈与税額が計算される。

・贈与税は、1年間(1月1日から12月31日まで)に贈与された財産の合計額をもとに計算する。

課税価格の計算

A:本来の贈与財産
・本来の贈与財産とは、贈与によって取得した財産(預貯金・株式・土地・建物など)で、金銭で換算できる経済的価値のある財産をいう。

B:みなし贈与財産
・みなし贈与財産とは、本来は贈与財産ではないが、贈与を受けたのと同じ効果がある財産をいう。

・みなし贈与財産には、次のようなものがある。

《生命保険金等》
・相続税と異なり、非課税枠(500万円×法定相続人の数)はない。
・保険料の負担者でない人が受け取った生命保険の保険金(満期保険金など)

《低額譲受》
・時価に比べて著しく低い価額で財産を譲り受けた場合の時価と実際に支払った金額との差額

《債務免除》
・借金をしている人が、その借金を免除してもらった場合の免除してもらった金額

C:非課税財産
・次の財産は、贈与税の課税対象にならない。
 扶養義務者から受け取った生活費や教育費のうち、通常必要と認められる金額
 社会通念上必要と認められる祝い金、香典、見舞金
 法人から贈与された財産(所得税の対象になる)
 相続開始年に被相続人から受け取った贈与財産(生前贈与加算の対象となった財産のこと)

贈与税の基礎控除

・贈与税の基礎控除額は、年間110万円である。

贈与税の税率

・贈与税の税額は次の速算表を用いて計算する。

・なお、暦年課税の場合で、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与により財産を取得した受贈者(財産の贈与を受けた年の1月1日において18歳以上である者に限る)は、特例税率を適用することができる。

SKReo
SKReo

特例税率を適用できる財産のことを特例贈与財産、特例税率の適用がない財産のことを一般贈与財産といいます。特例の方が税金としては安くなります。

○一般贈与財産用(一般税率)

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超300万円以下15%10万円
300万円超400万円以下20%25万円
400万円超600万円以下30%65万円
600万円超1000万円以下40%125万円
1000万円超1500万円以下45%175万円
1500万円超3000万円以下50%250万円
3000万円超55%400万円

○特例贈与財産用(特例税率)

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超400万円以下15%10万円
400万円超600万円以下20%30万円
600万円超1000万円以下30%90万円
1000万円超1500万円以下40%190万円
1500万円超3000万円以下45%265万円
3000万円超4500万円以下50%415万円
4500万円超55%640万円

贈与税の特例

贈与税の配偶者控除

・婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産(または居住用不動産を取得するための金銭)の贈与があった場合、基礎控除とは別に2000万円までは贈与税がかからない。

SKReo
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相続税にも「配偶者の税額軽減」がありますが、そちらは婚姻期間を問いません。

・同じ配偶者の間では一生に1回のみ

《贈与税の配偶者控除の計算式》
 (課税価格-2000万円-110万円)×税率-控除額

《条件》
・贈与を受けた年の3月15日までに受贈者が贈与によって取得した居住用不動産に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。
・特例の適応で贈与税額が0円になったとしても、贈与税の申告書の提出が必要。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、親世代が持っている財産を早めに子世代に移転できるように、贈与時に贈与税を軽減(2500万円までの贈与財産は非課税/非課税を超える場合の贈与税は一律20%で計算)し、その後に贈与分と相続分を合算して相続税を計算する制度をいう。

《対象者》60歳以上の父母または祖父母から贈与を受ける18歳以上の子or孫

《贈与の内容》贈与財産の種類・金額・贈与回数に制限は無

《税率》一律20%

《相続時精算課税の計算式(2023年まで)》
 (課税価格-2500万円)×20%
《相続時精算課税の計算式(2024年以降)》
 (課税価格-受贈者ごと年間110万円-2500万円)×20%

《条件》
・受贈者(子or孫)は、最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、「相続時精算課税選択届出書」を提出すること
・受贈者が贈与者(父母または祖父母)ごとに、相続時精算課税制度または暦年課税を選択できる。
・いったん選択すると、暦年課税には変更できない。

SKReo
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結局相続のタイミングで税金が発生するので必ずしもお得とは言えません。

暦年課税の方が良いケースもあり、よく考えて選択した方が良さそうです。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

・18歳以上の人が直系尊属(父母・祖父母など)から、一定の住宅を取得するための資金を取得した場合には、取得した金額のうち一定額が非課税となる。

《適用対象者》
贈与者:直系尊属(父母・祖父母など)
受贈者:満18歳以上で、贈与を受けた年の合計所得金額が2000万円以下の人

《適用住宅》
取得した住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下
※受贈者の贈与を受けた年の合計所得金額が1000万円以下のときは40㎡以上

《非課税限度額》
省エネ・耐震性の住宅:1000万円
上記以外の住宅:500万円

《ポイント》
暦年課税か相続時精算課税制度のいずれかと併用可
・受贈者1人につき、1回だけ使用できる制度。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

・2026年3月31日までの間、直系尊属(父母や祖父母)が一定の要件を満たす受贈者(子や孫)に対して、教育資金に充てるために金銭を贈与し、金融機関(受贈者名義の口座)に預け入れした場合には、一定額の贈与税が非課税になる。

《適用対象者》
・父母または祖父母から贈与を受けた30歳未満の子or孫で、贈与を受けた年の前年の受贈者の合計所得金額が1000万円以下の人。

《贈与の内容》
・学校等の入学金や授業料、学用品の購入費、修学旅行費、塾や習い事の代金、留学の費用など

《非課税金額》
・1人につき、上限1500万円
(うち、学校以外への支払いは500万円が限度)

《手続き》
・受贈者は、この特例の適用を受けようとする旨を記載した非課税申告書を、金融機関を経由して受贈者の納税地の税務署長に提出する。

結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

・2025年3月31日までの間、直系尊属(父母や祖父母)が18歳以上50歳未満の受贈者に対して、結婚・子育て資金に充てるために金銭等を贈与し、金融機関に信託等した場合には、一定額の贈与税が非課税となる。

《適用対象者》
・父母または祖父母から贈与を受けた18歳以上50歳未満の人で、贈与を受けた年の前年の受贈者の合計所得金額が1000万円以下の人

《贈与の内容》
・挙式費用、衣装代等の婚礼費用、家賃、敷金等の新居費用、不妊治療・妊婦検診の費用、分娩日、こどもの医療費、保育所などの保育料など

《非課税金額》
上限1000万円
(うち、結婚費用は300万円が限度)

贈与税の申告と納付

贈与税の申告

・贈与された財産の合計額が基礎控除(110万円)以下の場合は、申告不要

・以下の特例を受ける場合は、納付税額が0円でも申告が必要。
 贈与税の配偶者控除
 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度

・贈与税の申告書は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地の所轄税務署長に提出する。

贈与税の納付

・贈与税は、納期限(申告書の提出期限)までに、金銭一括納付が原則だが、一定の要件を満たした場合には、5年以内の延納も認められている。
 金銭一括納付が困難であること
 納付すべき贈与税額が10万円を超えていること
 延納申請書を申告書の提出期限までに提出すること
 担保を提供すること(延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以下の場合は不要)

・相続税と違って物納は認められていないので注意。

コメント

相続税と同様なVolumeのある章でした。贈与税も長いタイムスパンで考えておく必要がありそうです。

相続時精算課税制度と、贈与税の配偶者控除(相続税の配偶者控除と対比して覚えておいた方が良い)が良く出ます。

過去問

2023/09月 学科試験
正解はこちら

正解は④です。
①:履行の終わった部分は解除することはできません。
②:負担付贈与は、「500万円の借金を肩代わりしてくれたらこの土地をあげるよ!」みたいな感じです。利益を受けるのは、贈与者とは限らず、受贈者が利益を受けることもあります。
③:贈与は両者の合意が必要です。

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