損害保険の基本
損害保険とは
・損害保険は、偶然のリスク(事故や災害等)で発生した損害を補填するための保険。
損害保険の基本用語
保険契約者:保険会社と契約を結ぶ人(契約上の権利と義務がある)
被保険者:保険事故(保険の対象となる事故)が発生したときに、補償を受ける人または保険の対象となる人
保険の目的:保険をかける対象
保険価額:保険事故が発生した場合に被るであろう損害の最高見積額
保険金額:契約時に決める契約金額(保険事故が発生した時に保険会社が支払う最高限度額となる)
保険金:保険事故が発生した時に、保険会社から被保険者に支払われるお金
免責金額:自己負担額のこと
再調達価額:保険の対象と同等のものを新たに建築or購入するために必要な金額のこと。この再調達価額から経過年数や使用消耗による減価を差し引いた額が時価である。時価を基準に保険金を算出する保険が多いが、火災保険の一部は再調達価額を基準にするものもある。
告知義務:契約時に契約者が保険会社に事実を告げるため義務
通知義務:契約後に変更が生じた場合に保険会社にその事実を通知する義務
損害保険料の仕組み
損害保険独自の基本原則
・損害保険も生命保険と同様、大数の法則と収支相等の原則で成り立っているが、それらに加えて以下の2つの基本原則がある。
《給付・反対給付均等の原則(レクシスの原則)》
・給付・反対給付均等の原則とは、それぞれの危険度に応じた保険料を負担しなければならないという原則。

自動車保険も、免許証の色や年齢、等級などで事故のリスクに応じた保険料になってますね。
《利得禁止の原則》
・損害保険では、保険金の受け取りによって儲けを得ることを禁止している。
・これを利得禁止の原則という。
・そのため、実際の損失額を限度に保険金が支払われることになっている(実損払い)。

これは普通に考えたら分かる範囲ですかね。
この原則がないと、世の中は当たり屋だらけになってしまいます…
損害保険料の構成
・損害保険料=純保険料+付加保険料
純保険料:保険会社が支払う保険金に充てられる部分。予定損害率から計算。
付加保険料:保険会社の事業費に充てられる部分。予定事業費率から計算。

生命保険の保険料とほとんど一緒ですね。
超過保険・全部保険・一部保険
・損害保険の保険金額と保険価額の関係によって、超過保険・全部保険・一部保険に分けられる。
《超過保険》
・保険金額が保険価額よりも大きい保険→実損てん補(損害額は全額支払われる)
《全部保険》
・保険金額と保険価額が同じ保険→実損てん補(損害額は全額支払われる)
《一部保険》
・保険金額が保険価額よりも小さい保険→比例てん補(保険金額と保険価額の割合により保険金が削減される)


超過保険も、全部保険と同様の実損てん補(保険価額分しか支払われない)です。
そのため、超過保険は保険料の払い損です。
一方で、一部保険に関しては「比例」てん補です。
保険金額全てが貰えるわけではなく、火災保険のところで具体例を挙げますが、保険金額と保険価額の比によって実際に貰う金額が確定します。
損害賠償と法律
法律上の損害賠償責任
・個人や企業が日常生活や企業活動を営む上で、不法行為により他人の権利を侵害し損害を与えたなどの不法行為責任を負ったときや、債務不履行があった場合に法律上の損害賠償責任を負うことになる。
| 不法行為責任 (民法709条) | 故意または過失により他人の権利を侵害し、その結果、損害を与えた場合は、被害者に対して生じた損害を賠償する責任を負う。この損害賠償請求権の時効は、知った時から3年(人身傷害の場合は5年)、発生から20年である。 |
| 債務不履行責任 (民法415条) | 契約の当事者である債務者が自己の責任で契約上の義務を果たせなかった場合、債務者は債権者に対してその損害を賠償する責任を負う。この損害賠償請求権の時効は知った時から5年、発生から10年(人身傷害の場合20年)である。 |

発生から〇年が最長の期間です。
〇-1年に知ったとしても、そこから更に時効が延びることはありません。
火災と法律
・軽過失(ちょっとした不注意)による火災で隣家に延焼損害を与えてしまった場合には、民法709条の不法行為責任に優先して失火の責任に関する法律(以下、失火責任法)が適用される(火災保険の章で詳細は記載)。
自動車事故と法律
・自動車による人身事故では、民法の特別法である自動車損害賠償保障法(以下、自賠法という)の規定が優先され、自賠法に既定のない事項については、民法の規定を適用する。
・自賠法では被害者救済の観点から、加害者が法律で定める次の一定の条件を立証できない限り損害賠償責任を負うという一種の「無過失責任主義」をとっている。
《一定の条件;以下の①②③すべてを立証する必要あり》
①加害者側が自動車の運転者および保有者に自動車の運行について過失がなかったこと
②加害者または第三者(運転者を除く)に故意・過失があったこと
③加害者側の自動車に欠陥がなかったこと

交通事故の損害賠償額は、一括で支払うのが原則。
そのためには将来貰うはずだった利益(仕事を休んだことでもらえなかった給料など)を現在価値に換算する必要があり、その時に”中間利息控除”が行われる。
今のお金よりも将来のお金の方が価値が高い(投資などの運用でお金を増やせるから)ため、中間利息控除によって割り引かれた額が損害賠償額になる。
中間利息控除の計算に使うのが、ライプニッツ係数。最近、ライプニッツ係数が5%→3%に引き下げられた結果、控除額が減って損害賠償額が増えたようです。
製造物責任と法律
・製造物責任法(PL法)は、被害者は製造業者の過失を立証する必要はなく、製品の欠陥により生命・身体または財産に損害を被ったことを証明した場合に、被害者は製造業者に対して損害賠償を求めることができる法律。
・PL法の対象となる製造物:製造または加工された動産(不動産・未加工農林畜産物・電気・ソフトウェアなどは該当しない)。修理しただけであれば、PL法の対象にはならない。
・欠陥とは?:製造物に関するいろいろな事情を総合的に判断して、通常有すべき安全性を欠いていることをいう。設計上の欠陥、製造上の欠陥、指示警告上の欠陥などがある。単なる品質上の不具合はPL法の欠陥には当たらない。

品質上の不具合とは、スマホがすぐ壊れたとか、プリンターを買ったのにインクを認識しないとかそういったことです。
生命や身体、財産に害を与えるものが欠陥(ブレーキが壊れている、アレルギー表示を間違えた等)であり、性能が思ったより悪かったなどは欠陥には該当しません(債務不履行や保証対応などが該当)。
火災保険
火災保険とは
・火災保険は、火災によって生じた建物や家財の損害を補填するための保険。火災以外にも落雷や台風などの災害による損害も補填する。
・保険料は、保険の種類と保険の対象となる所在地や建物構造、用途、そこで行われる職・作業の内容によって異なる。
・保険金額は、建物または動産(家財・設備・商品など)を別々に設定する。
・保険期間は原則1年間だが、保険期間2年以上の長期契約の場合は最長5年とすることができる。
・建物の構造は住宅物件、一般物件の2種類がある。住宅物件は共同住宅のM構造、一戸建て住宅のT構造、H構造となっており、構造級別の保険料率はH構造が一番高い。

M(マンション構造)、T(耐火構造)、H(非耐火構造)です。
火災保険の種類
・住宅火災保険と住宅総合保険のどちらも地震や噴火、津波の被害は補償されないので、地震保険への加入が必要になる。
・家財の場合、1個または1組の価額が30万円超の貴金属、書画、骨董等は「明記物件」といい、契約時に申込書に明記しないと補償の対象にならない。
・家財の場合、住宅敷地内にある原動機付自転車や自転車も補償の対象。ただし、自動車は対象外。
・居住用建物の場合、住宅敷地内にある門・塀・垣も補償の対象。
・風、雨、雪などによる建物内部の吹込みや浸込み等による損害は、風災等による建物の外壁・屋根などの破損がないと補償対象とならない。
・2024年度から水災を補償する保険料を市区町村別に5段階に区分し、ハザードマップと連動されることでリスク度に応じた保険料が設定された。
・消火活動による水漏れで被った損害は補償対象となる。
・築年数の浅い物件ほど保険料は安い傾向がある。
《住宅火災保険/普通火災保険》
・住宅火災保険は、火災・落雷・風災等による損害を補償した最も一般的な火災保険で、居住用の建物とその建物内の家財を対象とした保険。
・消火活動による水漏れは補償される。
・居住用住宅以外の建物にかけるのを普通火災保険という。
《住宅総合保険/店舗総合火災/団地保険》
・住宅総合保険は、住宅火災保険よりも補償範囲を広げた保険(水災や盗難なども補償)。
・居住用建物以外を保証するのが店舗総合保険で、団地保険では住宅総合保険の内容に加えて建物の修理費用や団地内での傷害などもカバーされる(ただし団地保険では水災の補償は無し)。


水災は、津波とは違います。
床上浸水や、大雨による土砂災害などが水災になります。
保険金の支払額
・火災保険では、契約時の保険金額が保険価額の80%以上であるかどうかによって、支払額の算定方法が異なる。
《保険金額が保険価額の80%以上》実損てん補(保険金額を限度に、実際の損害額が支払われる)
《保険金額が保険価額の80%未満》比例てん補(下記の公式によって保険金が支払われる)
損害保険金=損害額×保険金額/(保険価額×80%)

比例てん補の例として、
保険価額1000万円の家に600万円の火災保険を付けていて、500万円の損害を被る火災があった場合。
貰える損害保険金は、500万円×600万円/(1000万円×80%)で、375万円となる。
価額協定保険特約
・価額協定保険特約とは、住宅火災保険、住宅総合保険、普通火災保険、店舗総合保険、団地保険などに付帯して引き受ける特約。
・火災保険の保険金額では、時価は年数とともに低下するため、全部保険でも保険金で同額の家を建て直すことは困難である。しかし、価額協定保険特約を付加すると、建物は新価、家財は新価または時価(どちらかを選択して契約)が保険金として支払われるため、全部保険であれば保険金だけで同等の家を建て直すことが可能。
地震火災費用特約
・火災保険に付帯する特約だが、建物が半焼以上の場合、支払保険金は火災保険金額×5%(300万円程度)とされている。
・保険金支払割合を30%や50%とする特約を取り扱う保険会社もある。

地震保険も地震で起きた火災による被害は補償してくれます。
地震保険に入らない人などが、ちょっとでも補償に期待して入る特約みたいです。
失火責任法
・失火責任法により、軽過失によって火災を起こして隣家に損害を与えたとしても、損害責任を負わなくて良いことが定められている。
・あくまでも軽過失の場合なので、爆発による損壊や重過失、故意によって火災を起こした場合には損害賠償責任が生じる。
・ただし、借家人が借家(賃貸住宅)を焼失させた場合、軽過失であっても家主に対しては損害賠償責任を負う(民法415条の債務不履行責任による)。

隣の家が火事を起こして燃え広がっても自分の家は自分の火災保険で修理してね!ってことなので、自宅を持っている人や不動産投資をする人は火災保険には入っておきましょう。
地震保険
・火災保険では、地震・噴火・津波によって生じた火災については補償の対象外なので、これを補填するためには地震保険に加入しなければならない。
・地震保険は単独では加入できず、火災保険とセットで契約する。
・住宅(居住用建物)と住宅内の家財(ただし、1個または1組の価格が30万円を超える貴金属や宝石などは補償の対象外)が補償の対象となる。
・保険金額は火災保険(主契約)の30-50%の範囲で設定できる。ただし、上限あり(建物5000万円、家財1000万円)
・保険期間は原則として1年。ただし、火災保険が5年超の場合は、1年ごとの自動継続または5年ごとの自動継続が選択できる。
・損害の程度に応じて保険金が支払われる(全損・大半損・小半損・一部損の4段階)。
| 全損 | ・主要構造部の損害額が、建物の時価の50%以上 ・焼失もしくは流失した床面積が、建物の延床面積の70%以上 | ・保険金額の100% (時価額が限度) |
| 大半損 | ・主要構造部の損害額が、建物の時価の40%以上もしくは50%未満 ・焼失もしくは流失した床面積が、建物の延床面積の50%以上70%未満 | 保険金額の60% (時価額の60%が限度) |
| 小半損 | ・主要構造部の損害額が、建物の時価の20%以上もしくは40%未満 ・焼失もしくは流失した床面積が、建物の延床面積の20%以上50%未満 | 保険金額の30% (時価額の30%が限度) |
| 一部損 | ・主要構造部の損害額が、建物の時価の3%以上もしくは20%未満 ・全損、大半損、小半損に至らない床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水 | 保険金額の5% (時価額の5%が限度) |
・上記の4区分は、2017年1月1日以降に更新した契約、中途付加した契約の場合にも適用される。
・1回の地震等による地震保険の支払保険金の総額が民間保険責任額を合計した12兆円(2024年4月時点)を超える場合、支払われる保険金が削減されることがある。
・主要構造物とは、基礎・柱・屋根・外壁等をいい、門・塀等が単独で損害を受けても保険金は支払われない。
・最初の地震から72時間以内に生じた2以上の地震は1回の地震とみなされる。
・木造建物、共同住宅を除く鉄骨造建物の地盤液状化による損害の認定基準は、建物の「傾斜」または「最大沈下量」に着目して、全損・大半損・小半損・一部損の認定を行う。
・民間と政府の負担割合は、1回の地震等により支払われる保険金額により異なる。
・保険料は、保険会社による違いはないが、対象となる建物の所在地(都道府県による等地別の3区分)や構造(イ構造とロ構造の2区分)によって異なる。
・保険料の割引制度(免震建築物割引/耐震診断割引/耐震等級割引/建築年割引)がある。ただし、重複適用はできない。

自動車保険
・自動車保険には、強制加入の自動車保険(自賠責保険)と、任意加入の自動車保険(民間の保険)がある。
自賠責保険
・自賠責保険は、全ての自動車(原付を含む)の所有者と運転者が、必ず加入しなければならない保険。
・加入せずに自動車を運転した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
《補償対象》
・対人賠償事故のみ(死亡した相手側の運転手とその同乗者、あるいは歩行者など)
・被害者のみ補償。加害者のケガや自動車の破損は対象外。
・自己の父母、配偶者、こどもも「他人」となり、補償の対象となる。
《保険料》
・自動車の車種や保険期間に応じて決まる。
・運転者の範囲・年齢、走行距離、保険会社による差異はない。
《保険金の限度額(死傷者1人あたり)》
・死亡事故で最高3000万円
・傷害事故で最高120万円、後遺障害の場合は75万~4000万円(障害の程度によって決まる)
《保険金の請求》
・加害者請求のほか、被害者請求も認められている。
本請求:すべての治療が終わってからまとめて請求する。
内払金請求:治療中に治療費などを請求する。
仮渡金請求:被害者の当座の出費に充てるために被害者が請求する(加害者請求は無い)
・1事故あたりの限度額はない。
・被害者に70%以上の過失がある場合、保険金額は2割から5割減額される。
・2台以上の複数台の自動車事故(共同不法行為)では、支払保険金限度額は加害者の車両台数分増加する。
・自動車の駐停車中やクレーン操作中の事故も対象。
・特定小型原動機付自転車(電動キックボード)も加入義務あり。

「1事故あたりの限度額がない」とは、被害者が複数人いたとしても、上述した保険金の支払限度額までの中でそれぞれ支払われるってこと。
「複数台の事故で支払保険金限度額が車両台数分増加する」とは、加害者の車両が2台あるような事故ではその分保険金の限度額が上がるってこと。
政府による自動車損害賠償保険事業(政府保障事業)
・ひき逃げ事故や無保険車に轢かれた被害者救済のため、被害者は政府による自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)に対して、直接請求して補償を受けることができる。
・損害のてん補請求は、被害者請求のみ(内払金請求や仮渡金請求の制度はない)
・補償内容は自賠責保険と同様。
・被害者が社会保険から給付を受けた場合や、加害者から支払いがあった場合は、その金額が差し引かれて支払われる。
・被害者に70%以上の過失がある場合、保険金額は減額される。
保険金の請求と時効
・保険金を保険会社に請求できる期限は3年であり、期限を過ぎると時効になり、請求権はなくなる。もし、何かの事情で請求するのが遅れ、時効になる恐れがある場合は、保険会社に対して時効中断の申し出をして、確認を受けておく必要がある。
・仮渡金や内払金が支払われたときも、時効が中断する。

仮渡金や内払金が支払われたということは、被害者救済が必要だと保険会社が認めたってことなので、時効は中断します。

・政府保障事業への請求については、時効の中断は認められていない。
・任意の自動車保険の時効は、法律上の損害賠償責任の額が示談・判決などにより確定したときから3年。
保険金の支払い
・原則、被保険者が保険金請求を行う場合、必要な手続きを完了した日からその日を含めて30日以内に、保険会社は保険金を支払うために必要な事項の確認を終えて保険金を支払う。
任意加入の自動車保険
・無免許運転や飲酒運転など違法な運転の場合は、被害者は補償されるが加害者は補償されない。
対人賠償保険
・自動車事故で他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に自賠責保険の支払額を超える部分の金額が支払われる。
対物賠償保険
・自動車事故で他人の物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる。

対人賠償保険も対物賠償保険も、「他人」が対象です。
本人・配偶者・子供・父母は対象になりません。
搭乗者傷害保険
・被保険自動車に乗車中の人(運転手や同乗者)が死亡した場合などに保険金が支払われる。
自損事故保険
・運転者が自賠責保険では補償されない単独事故などを起こしたときに保険金が支払われる。
無保険車傷害保険
・自動車事故により乗車中の人(運転者や同乗者)が死亡したり、後遺障害を被った場合に、事故の相手方(加害者)が無保険であったり、十分な賠償ができない時、保険金が支払われる。
車両保険
・自分の自動車が偶然の事故により損害を受けた時や盗難にあった場合に保険金が支払われる。
・免責金額については、1回目の車両事故と2回目以降の車両事故での金額の組み合わせで選択する契約があり、1回目と2回目以降の免責金額が変わらない「定額方式」と、2回目以降の免責金額が高くなる「増額方式」の2種類がある。ただし、全損の場合には免責金額が差し引かれずに全額保険金が支払われる。
人身傷害補償保険
・自動車事故により被保険者が死傷した場合に、過失の有無にかかわらず、実際の損害額が支払われる。示談交渉を待たずに保険金が支払われる。契約保険金額を上限とし、実際の損害額に対して実損分の保険金が支払われる。単独事故であっても補償される。
・例えば、被保険者が死亡して損害額が1億円だった場合(過失割合は被保険者40%/相手60%)、被保険者の自己負担と相手からの賠償金分はまとめて人身傷害補償保険から支払われ、相手方の6000万円分の請求は保険会社が代位して請求する。
テレマティクス保険
・テレマティクス保険は、自動車に通信システムを搭載して、リアルタイムに運転データを取得・分析し、この取得データを保険料に反映させる自動車保険。
ノンフリート契約
・契約者が所有、使用する自動車の契約台数が9台以下の契約をノンフリート契約という。
・ノンフリート契約では、契約者の事故実績に応じて1-20等級に区分し、等級ごとに割増引率が定められている。
・初めて契約するときは6等級からスタートし、事故が無ければ翌年に1等級上がる。
| 3等級ダウン事故 | 下記の2つに該当しない事故 |
| 1等級ダウン事故 | 台風・洪水、盗難等の事故で車両保険金が支払われる場合(衝突事故等を除く) |
| ノーカウント事故 | 人身傷害補償特約や搭乗者傷害保険、個人賠償責任特約など一定の特約のみが支払われる場合など |
・有事故契約と無事故契約者の保険料負担の公平性により、有事故契約者は3年間は低い割引率が適用される。
・1事故で複数の保険を利用(車の修理と、衝突した壁の修理など)しても等級ダウンは合算されない。ただし、異なる事故で保険を利用した場合、等級ダウンは合算される(連日事故してしまったなど)。
・事故有係数適用期間の上限は6年。

契約者が所有・使用する自動車の廃車・譲渡などや、契約者の海外渡航によって、やむを得ず契約を中断する場合に、一定の条件を満たすと、中断後の新しい保険契約に旧契約の等級を引き継げる制度があり、中断特則といいます。
一般的に、中断した日から13か月以内に所定の手続きをすると中断証明書が発行されます。
中断証明書を新契約の保険会社に提出することで、最長10年間、等級が引き継げます。
フリート契約
・契約者が所有・使用する自動車の契約台数(契約期間1年以上)が10台以上の契約をフリート契約という。
・フリート契約とノンフリート契約では、保険料の算出の仕組みに以下のような違いがある。
| フリート契約 | ノンフリート契約 | |
| 保険料割引・割増の適用単位 | 契約者単位 | 自動車1台単位 |
| 保険料割引・割増の決定方法 | 契約している自動車全体について、契約者が支払った保険料と保険会社が支払った保険金との割合(損害率)ににより決定 | 1台ごとの事故件数、事故内容などに応じた等級により決定(等級性) |
・フリート契約者の保険料は、運転者の年齢に関係なく同一。
傷害保険
傷害保険とは
・傷害保険は、日常生活における様々なケガ(急激かつ偶然な外来の事故により、身体に傷害を被った状態)に対して、保険金が支払われる。
・年齢や性別で保険料が異なることはないが、職種別に保険料が異なる。

職種級別Aに該当する教員や販売員よりも、Bに該当するバス運転手や建設作業員の方が保険料が高いです。
傷害のリスクの高い職種ほど保険料が高いのは自然な流れですね。
主な傷害保険
普通傷害保険
・国内外を問わず、家庭内・職場内・通勤途上・旅行中など日常生活で起こる傷害を補償する保険。
・1つの契約で家族全員が補償される家族傷害保険もある。
・病気(細菌性食中毒を含む)や自殺、地震・噴火・津波を原因とする傷害は対象外。
交通事故傷害保険
・国内外で起きた交通事故、改札口内の駅構内での事故、建物や乗り物の火災などによる傷害を補償する保険。
・1つの契約で家族全員が補償されるファミリー交通傷害保険もある。
国内旅行傷害保険
・国内旅行中(家を出てから帰宅するまで)の傷害を補償する保険。
・細菌性食中毒は補償の対象だが、地震などによる傷害は対象外。
海外旅行傷害保険
・海外旅行中(家を出てから帰宅するまで)の傷害を補償する保険。
・細菌性食中毒や地震・噴火・津波による傷害も補償の対象となる。
・特約により、疾病・賠償責任・携行品損害なども担保される。

海外旅行傷害保険が一番幅広く補償されている(海外で補償されない項目があると旅行者としてはかなり痛手ですよね)。
国内旅行傷害保険は、地震・噴火・津波によるケガが補償外。
それ以外の傷害保険は、食中毒も補償外。
賠償責任保険
賠償責任保険とは
・賠償責任保険は、偶然の事故によって、損害賠償責任を負った時に補償される保険。
主な賠償責任保険
個人賠償責任保険
・日常生活における事故によって、他人にケガをさせたり、他人の物を壊したことにより、損害賠償責任を負った時に備える保険。
・1つの契約で家族全員が補償対象となり、被保険者の他、配偶者および生計を同一にする同居親族と別居の未婚の子(続柄は保険事故発生時点で判断される)まで対象となる。
・業務遂行中の賠償事故は対象外である他、自動車の運転による事故や地震や噴火、津波によって生じた損害は対象外。

自動車保険に特約として付帯していたりしますので、確認してみてはどうでしょうか。
飼い犬の散歩中に飼い犬が他人を噛んでケガさせた場合や、買い物中に商品を誤って落として壊してしまった場合などが対象です。
PL保険(生産物賠償責任保険)
・製造、販売した製品の欠陥によって、他人に損害を与え、損害賠償責任を負った時に備える保険。
・企業を対象とした保険。

企業が作った充電器から出火して火事になった場合や、飲食店で提供した食事によって食中毒が起きてしまった場合などが対象です。
施設所有(管理)賠償責任保険
・施設の不備による事故または施設内外で業務遂行中に生じた事故の賠償責任に備える保険。
・企業を対象とした保険。

店内に積んであった商品が崩れて客にケガを負わせた場合や、自転車デリバリー中に商品が通行人にぶつかってケガを負わせた場合などが対象です。
受託者賠償責任保険
・他人から預かった物を壊したり、失くしてしまった場合等の賠償責任に備える保険。
・主に企業を対象とした保険。
労働災害総合保険
・従業員が労働災害を被った時に、労災保険の上乗せ補償や企業の被用者に対する損害賠償責任に備える保険。
・一般的に全被用者を対象として一括して引き受けることが原則であるが、パート・アルバイトを除外して引き受けることも可能。
・保険金は事業主に支払われるが、全額を被災被用者またはその遺族に支払われなければならない。
・政府労災保険の支給が保険金支払要件となる。
・主に以下の2つの補償がある。
①法定外補償
・政府労災保険の給付対象となる労働災害について、事業主が政府労災保険に上乗せして給付する災害補償金を補償する。
②使用者賠償責任
・事業主に責任がある労働災害について、政府労災保険の給付や法定外補償規定に基づく支払いを超える法律上の損害賠償金を補償する。

法定外補償は、普通の労災保険に上乗せで保障するために契約するもの。
使用者賠償責任は、労災保険の責任がある事業主に対して労災保険の給付で足りない分の損害賠償請求をされたときにその分を補償するために契約するもの。
いずれか一方のみの契約も可能。
請負業者賠償責任保険
・工事や清掃などの請負業者が請負業務の作業中に損害を与えてしまった場合の損害賠償に備える保険。
企業費用・利益保険
・不慮の事故や災害などにより、自社が受けた被害や逸失利益を保証する保険。
・例えば、火災が起きた時。火災保険では、人件費やテナント料、営業利益などの損害は補償されない。

台風の影響で工場が被害に遭い、操業が停止した場合などが対象です。
機械保険
・設計の欠陥、亀裂等の機械的事故、偶発的な事故などによって、機械設備や装置に生じた損害に備える保険。
・火災による損害は対象外。
会社役員賠償責任保険(D&O保険)
・会社役員(被保険者)が、その業務遂行のために行った行為に起因して、保険期間中に株主代表訴訟や第三者訴訟など損害賠償請求をされた場合に、「法律上の損害賠償金」および「争訴費用」の損害に対して保険金が支払われる。
・補償の対象となる損害賠償金には、裁判に基づく損害賠償金や和解金は含まれるが、罰金・課徴金・懲罰的損害賠償金は含まれない。
・すべての役員が被保険者となり、保険期間中に退任した役員や選任された役員も含まれる。
・保険料は、通常、基本補償部分は会社負担、株主代表訴訟担保特約部分は役員負担。
・株主代表訴訟担保特約分の保険料を会社が会社法上適法に負担した場合でも、役員個人に対して給与課税はされない(経済的利益供与がないため)。
・保険の契約内容を決めるためには、株主総会の決議が必要。
個人の損害保険と税金
地震保険料を支払った時の税金(地震保険料控除)
・1年間(1/1-12/31)に支払った地震保険料(居住用家屋・生活用動産)は、地震保険料控除として、その年の所得から控除することができる。
・控除額は以下。
所得税:地震保険料の全額(最高5万円)
住民税:地震保険料×1/2(最高2.5万円)
・店舗併用住宅は、居住用部分のみが適用対象(ただし、建物の概ね90%以上が居住用であれば全額を地震保険料控除の対象にできる)。
・複数年分の地震保険料を一括で支払った場合、毎年、その年に応じた額が地震保険料控除の対象になる。
・地震保険の対象であった居住用不動産が地震で全損し、保険金が支払われて保険契約が失効した場合でも、その年に支払った地震保険料については当該年の地震保険料控除の対象となる。
・常時居住の用に供していない別荘や第三者が居住するアパートは地震保険料控除の対象とならない。
・少額短期保険は、地震保険料控除の対象とならない。

タックスプランニングのところで勉強しますが、
地震保険料を含む所得控除を行った後に所得税率をかけることになるので、実際には全額が手元に戻ってくることはありません。
経過措置(旧長期損害保険料控除)
・2007年分の所得税(住民税は2008年分)から、従来の損害保険料控除は廃止された。しかし、経過措置として、次の要件を満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料は、地震保険料控除の対象とすることが出来る。
・要件と控除額は次の通り。
《要件》
・2006年12月31日までに締結した契約
・満期返戻金等のあるもので、保険期間が10年以上の契約
《控除額》所得税:最高15000円、住民税:最高10000円
・地震保険料控除と重複する場合、所得税は合わせて最高5万円、住民税は合わせて最高2.5万円となる。

地震保険以外の損害保険も要件を満たせば対象となります。
保険金を受け取った時の税金
・損害保険の場合、保険金は損失補填を目的としている(実損払い)のため、原則として非課税。
・非課税となるものは、例えば火災保険金、車両保険の保険金、損害賠償金、入院給付金、後遺障害保険金など。
・ただし、死亡保険金(傷害保険など)、満期返戻金、年金として受け取る場合の保険金については、生命保険と同様の扱いとなる。
死亡保険金・満期返戻金・年金払積立傷害保険
・死亡保険金(傷害保険・自動車保険)、満期返戻金、年金払積立傷害保険の給付金(年金)は、生命保険と同様の課税関係となる。
・ただし、自動車保険の人身傷害補償保険の死亡保険金は、次のように取り扱われる。
自己の過失相当分:課税(相続税などの対象)
相手方の過失相当分:非課税(損害賠償金であるため)
個人事業主と税金
火災保険
保険料
・事業用の建物を対象とした火災保険の保険料は、事業所得の必要経費となる。
・店舗併用住宅の場合は、店舗部分に対応する部分の保険料のみ経費となる。
保険金
・事業用資産の損失に対する火災保険金は、次のように取り扱う。
・棚卸資産に対する火災保険金:事業所得の収入金額に計上する。
・棚卸資産以外の事業用資産に対する火災保険金:非課税
・事業用資産の帳簿価額を上回る保険金を受け取った場合、差額は非課税。
・休業補償金や商品の損失の保険金は、事業収入や経費を補填するものなので、事業所得として収入金額に計上する。

棚卸資産は売ろうと思っていた商品のこと(パン屋さんのパンみたいな感じ)。棚卸資産に対する火災保険金は、要するに火事で燃えたけど、代わりに火事で買ってもらったようなものなので収入になります。
自動車保険
保険料
・事業用の自動車に対する保険料は、事業所得の必要経費になる。
保険金
・損害賠償金は非課税。
・車両保険の保険金は、事故で車両を修繕する場合としない場合で、次のように扱いが異なる。
《修繕する場合》補填される保険金は、事業所得の収入金額に計上。
《修繕しない場合》
廃棄損>保険金:上回った部分の損失は必要経費に算入
廃棄損<保険金:廃棄損を上回った部分の保険金は非課税

車を修理すると損するような気がしますが、実際は修理費は経費にできるので、それほど金銭的に差があるわけではなく、車が事業に必要かで判断することになります。
傷害保険
保険料
・従業員を被保険者とする保険料は、福利厚生費として必要経費に算入する(ただし、特定の従業員に限定した場合は給与扱い)。
・個人事業主自身が被保険者として加入しても、その保険料は必要経費にはならない。
・従業員を被保険者とする積立型の保険(満期返戻金付きの契約)の保険料は、積立部分を満期まで資産計上し、補償部分を必要経費に算入する。
保険金(被保険者=従業員)
・死亡保険金や傷害保険金は、事業所得の収入金額に計上する。
・満期保険金は一時所得の収入金額となる。
法人の損害保険と税金
支払保険料の経理処理
・法人が支払った損害保険料は、原則として損金算入される(特定の従業員を対象にした場合は給与扱い)。ただし、積立型の保険(満期返戻金付きの契約)の保険料のうち積立保険料部分は、資産計上する。
・法人が複数年分の損害保険料を支払った時、その事業年度分は「支払保険料」などの損金に算入するが、次年度以降の分は「前払保険料」などの資産として計上する。また、満期返戻金など積立部分がある場合は「保険料積立金」などの資産として計上する。
受け取った保険金の経理処理
・法人が契約者で保険料を支払っていた損害保険の保険金は、誰が受け取ったかで経理処理が異なる。
・保険金が従業員の遺族や事故の相手方に直接支払われた場合は、法人が保険金に関わらないため、経理処理は不要。
・保険金が法人へ支払われた場合は、雑収入などとして益金に算入して課税対象。ただし、保険料支払い時に「保険料積立金」や「前払保険料」として資産計上している額がある場合は、資産計上した額よりも保険金額の方が多ければ差額が益金。
・火災保険や自動車保険の保険金で、一定期間内に代替資産を取得した場合、圧縮記帳1の適用が認められる。
- 圧縮記帳:法人の事業に用いられる建物や自動車、機械設備等の資産が損害を受け、受け取った保険金をそれら資産の改良や、同一種類に区分される代替資産の購入に活用した場合に適用される。法人税の課税を繰り延べる効果がある。 ↩︎

火災や事故などで損害を被って保険金を得た場合、保険金が益金算入されると法人の利益として課税されることになります。そうすると、事業の維持が難しくなる可能性があるため、保険金で代替資産を購入した場合に「圧縮記帳」を使うことで、課税を繰り延べることになります。
圧縮記帳
・受け取った保険金で新しい資産を代替取得する場合に、一定の要件を満たせば、保険差益(帳簿価額を上回る部分)に課税されず、課税を次期以降に繰り延べることが出来る。
・圧縮限度額は以下のように計算する。
保険差益=保険金-(建物等の損失発生前の帳簿価額のうち被害部分相当額+支出費用)
※支出費用:取壊し費・焼け跡の整理費(見舞金や賠償金は含まない)
圧縮限度額=保険差益×代替資産の取得に充てた保険金/(保険金-支出費用)
※保険差益のうち圧縮限度額を損金算入し、その額を保険金で購入した新たな資産の帳簿価額から減額する。
・圧縮記載の対象は、法人所有の固定資産(建物や機械など)に限られる(個人所有不可・棚卸資産不可)。
・固定資産が被災した日から3年以内に保険金が支払われることが確定していること。
・保険金で購入する代替資産は被災した資産と同種であること。同種であるかの判定は、耐用年数省令別表第一に記載されている減価償却資産の場合、その表の種類の区分が同じであるかどうかにより行う。
コメント
最近はオンラインで完結する自動車保険も増えてきましたね。思っていたよりも安価で、事故の時の対応も良かったので、皆さんも保険の見直しをしてみてはどうでしょうか。
全体によく出るので、広く覚えるのが良さそうです。
過去問

正解はこちら
正解は①です。火災保険では消防活動に伴う水濡れによる損害も補償の対象です。火災が原因で水濡れ被害を受けたのに補償されなかったら、許せないですね💦

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正解は③です。原付や自動車による損害賠償責任については、個人賠償責任保険ではカバーされません。この場合は自動車保険に入るべきです。自転車なら個人賠償責任保険でOK。

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正解は③です。可哀そうなお金は非課税なので、当該車両の修理をしなくても非課税です。


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